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コーポレートファイナンス用語辞典
DCF法(Discounted Cash Flow method)
ファイナンスは,現在と将来の交換法則を研究する学問である。実務に対する大きな貢献は,資産評価の原則である割引キャッシュフロー(DCF)法を示したことである。 DCF 法では、資産が将来生み出すフリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow:FCF)を予測し,リスクを反映した割引率で現在価値に換算する。FCFは,投資家(資金提供者)に配分できるキャッシュである。来期に FCF1,2期後にFCF2,3期後にFCF3,… を生み出す資産を考えよう。割引率をρとすると, DCF 法による現在価値PV(Present Value)は下記で与えられる。
DCF 法では,1期後の FCF を1回割引き,2期後の FCF は2回割引く(以下同様)。割引率ρは,時間価値を表すリスクフリー・レートにリスクプレミアムを加えた値である。割引率は将来の不確実なFCFと現在価値の交換比率と解釈できる。
DCF 法を用いてゴーイングコンサーンである企業価値や株式価値を求める場合,無限期間の FCF の現在価値を求める必要がある。このとき便利な公式がある。毎期の FCF が一定率 g で成長するとき,無限等比数列の和の公式より,下記の永続成長モデルが導かれる。ただし ρ> g である。
成長率 g がゼロであれば,毎期の予測 FCF は一定になる。このとき,次の定額モデルが導かれる((2)の g=0 の場合に相当)。
DCF 法は,理論的に正しい評価法であり,実務においても頻繁に用いられる。 M&A における買収価格の算出,投資評価,債券評価,株式評価,不動産評価,無形資産評価,ローンの評価,ブランド評価など,あらゆる資産は DCF 法で評価できる。
下記はアメリカ MBA の講義資料からの抜粋である。
(各種用語は フリー・キャッシュフローの項 を参照)
資産が生み出す各期の FCF の現在価値を求め,それらを加えて資産価値(Asset Value)を算出している。期間当たりの割引率は r で表記されている。
Term.value は Terminal Value(継続価値)のことで、予測最終期間(H期)後の永続的な FCF を予測最終期間において評価した値である。 TV(Terminal Value)を現在価値に換算する場合, H 回割引く必要がある。 TV の算出には,(2)式の永続成長モデルや,(3)式の定額モデルが用いられる。
このようにして算出した現在価値(PV)には,資産が生み出すすべての FCF が含まれている。
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