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ファイナンス的アプローチの第一歩を、やさしい語り口で分かりやすく解説します。
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コーポレートファイナンス用語辞典
経営戦略分析と財務分析
経営戦略は,持続的な競争優位を確立するための長期的な経営方針である。経営戦略を実現するため,企業は経営資源(人財,資産,資金)を配分する。経営戦略とその成果は,財務数値を通じて,企業価値に影響を与える。経営戦略を立案したり,その成果を分析したりするフレームワークはいくつかある。ここでは,代表的なものを取り上げ,企業財務や財務指標との関係を紹介する。
経営戦略理論の大家であるハーバード・ビジネススクールのポーター教授は,業界要因に注目した 5 forces を提唱した。そこでは,業界の平均的な収益力に影響する外部要因が5つ提示される。市場内競争、新規参入の脅威、代替品と補完品、売手(供給者)の交渉力、買手(顧客)の交渉力の 5 つである。外部要因を分析すると,競争優位を得るための方針が見えてくる。コストリーダーシップ戦略,差別化戦略,集中化戦略などである。
外部環境が厳しく,価格競争から逃れられない業界では,いち早くコストリーダーシップ戦略を採用する必要がある。コストリーダーシップは,売上高利益率は低いが,総資産回転率(売上高÷総資産)は高いという財務的な特徴がある。外部環境が緩やかな業界は,参入企業が少なく,大規模な売上高が見込めない。このとき,企業は差別化戦略により高い利益率を追求することが最適な戦略になる。差別化戦略は,売上高利益率は高いが,総資産回転率は低いという特徴をもつ。外部環境が厳しくても,特定の地域や特定の顧客層に集中して販売を行う集中化戦略をとることで,競争優位を築くこともできる。集中化戦略は,セグメント情報における特定の事業や地域の割合が高いという財務上の特徴をもつ。
企業経営をとりまく外部環境の機会(Opportunities)や脅威(Threats)に加え,自社が保有する内部経営資源の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)を確認して,経営戦略を分析する手法もよく用いられる。この分析方法は,各項目の頭文字をとり, SWOT 分析といわれる。具体的には下記のようなマトリックスを作成する。外部環境分析では, 5 forces に加え,マクロ経済動向や業界動向を検討する。内部資源分析では,強みと弱みを掲げ,財務数値等でそのことを確認する。同業他社と比較して良好な財務指標は強みを表し,劣っている財務指標は弱みを表している。
(表)SWOT 分析の例
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