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デュレーションってなんだろう

第5回 債券投資の基本構造を理解する (その4)

 5. 債券投資期間の長短と収益決定要因

さて、今、償還日よりずっと前の時点で債券を売却してしまうような短い期間の債券投資と、償還日まで債券を持ちきるような債券投資とで、どのように収益が決まってくるかということを見てきました。

ここで注意していただきたいのは、最初に述べた二つの収益率を決定する要因と債券の投資期間との関係です。 期間が短い投資においては、基本的に (2) 売却時の価格 が変動することにより収益率が大きく変わります。一方償還日まで持ちきるような期間の長い債券投資においては (1) クーポンの再運用収入 が変化することによる要因だけで収益率が変動します。

すなわち、前にも述べたように、投資収益率を決める上の二つの要因が投資に与える影響の大きさと、債券投資期間との関係については以下のように整理できます。

 ・短期的な投資の場合
    売却時の価格の影響 > クーポンの再運用収入の影響

 ・長期的な投資の場合
    売却時の価格の影響 < クーポンの再運用収入の影響

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図1: 債券投資収益率に与える影響 を示すイメージ図

直観的にも明らかとは思いますが、投資期間が長い(ここで言う投資期間の長さとは、厳密には償還日までの期間を基準として、そのどの程度の割合の長さかという観点で考えています)ほど、クーポンの再運用による収益が変わることによる影響が大きくなり、投資期間が短いほど、売却時の価格がいくらかという要素が、収益率を決める要因として大きくなることを、上の図は示しています。

ところで、この図を見ているとこんなアイデアが思い浮かびます。

クーポンの再運用が投資にあたえる影響がプラスに働くのは、投資後、世の中の金利が上昇して、クーポンの再運用収入が増える場合です。一方、売却価格の要因が投資にプラスに働くのは、投資後、世の中の金利が低下して、債券価格が上昇する場合です。つまり、この2つの要因は基本的には逆向きに投資に影響を与えるのです。

とするならば、上図における中央部分ぐらいの投資期間、具体的には、クーポンの再運用収入が投資に与える影響と、売却価格が投資に与える影響が同じくらいである期間を投資期間に選べば、逆向きの2要因が釣り合っているので、今後世の中の金利がどう変わってもあまり投資収益率は変化しないのではないか? というアイデアです。

このアイデアは基本的に正しく、この2要因が釣り合う期間を示すのが実は「マコーレー・デュレーション」なのです。 しかし、話が長くなりましたので続きは次回ということにしましょう。

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