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金融エンジニアリング キーワード解説
リスク中立確率
いわゆる「リスク中立世界(経済)」を前提として成立する確率をこう呼ぶ。リスク中立世界とは、投資家がすべてリスク中立だった場合の世界のことである。
現代ポートフォリオ理論では投資家には以下の3タイプが存在するとする。
リスク回避的投資家 | 期待リターンが同じならばよりリスク(リターンのブレ)が小さい投資を良しとする。 |
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リスク中立的投資家 | 投資を期待リターンの水準だけで判断する(リスクは無視する)。 |
リスク愛好的投資家 | 期待リターンが同じならばよりリスクが大きい投資を良しとする。 |
ただし、現実の市場の構成者の多くがリスク回避的投資家と考えられる(現代ポートフォリオ理論によれば)ことから、現代ポートフォリオ理論の理論構成においては、投資家=リスク回避者という前提の下、議論は構築されている。
リスク回避者が市場の構成員だとすると、金融商品の価格は期待リターンとリスクという2点から判断されることになり、投資家によりリスク回避の程度の違いも当然あることから、市場の価格形成は複雑になる。しかし、仮に、市場の投資家がすべてリスク中立者であるとするならば市場は非常に単純になる。何故ならば、リスク中立者は、期待リターンの水準のみで商品の価値判断、すなわち値付けを行うので、このような市場では、ある商品の期待リターンが別の商品の期待リターンより高ければ、期待リターンの低い方の商品が選ばれることはあり得ない。このように、市場は常に期待リターンという一つの値のみで選別が行われので、需給の原理から言って市場に存在する金融商品の期待リターンは同じになるはずということになる。
そして、無リスク資産というものが存在すれば、その期待リターンはこの無リスク資産のリターン、すなわち無リスク金利とも一致せざるを得ない。このようにやや逆説的ではあるが、市場の構成員が期待リターンだけにこだわる期待リターン至上主義者だけになると、金融商品の期待リターンはすべて無リスク金利と同じに成ると言う結果を招来する。投資家がすべてリスク中立者であるような(仮想)世界をリスク中立世界と呼ぶが、もしこのような世界があるならば、そこではどんなにリスクのある金融資産でもその期待収益率は無リスク金利、いわゆるリスクフリーレートと同じになる。このような世界で成立していると考えられる確率をリスク中立確率と呼ぶ。
デリバティブのプライシングでは、このリスク中立確率の考え方が非常に重要になる。デリバティブの価格の考え方の原理はプライシング対象の派生商品と同じキャッシュ・フローを生成する複製ポートフォリオを構築し、そのポートフォリオの現在価値を求めることだが、実はこの複製ポートフォリオの価値は、リスク中立世界を前提とした派生商品の価値の期待値の現在価値と等しくなることが知られている(ややこしいが、これは現実の世界において派生商品の期待収益率が無リスク金利と同じということではない)。オプションのように原資産の価格推移について一定のモデルを置いた上で複雑(理論的)な複製を考えていく派生商品の場合、プライシング手法としてはこのリスク中立確率を使った手法が使われることが多い。
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