日本の金融理論教育をリードするシグマインベストメントスクール


menu

●日本FP協会 継続教育対象講座●  企業価値・ROE重視時代の株式投資に必要な企業分析を学ぶ!
 【eラーニング】ファンダメンタル分析 初級コース

PR

エクセルを使ったモンテカルロ・シミュレーション

第10回 リスク中立評価法よるデリバティブ・プライシング (その3)

 4. オプション・プライシングの一般論(3) リスク中立評価法

大分、話がリスク中立経済そのものに向かってしまいましたが、これで先ほど申し上げた金融工学の原理

「複製原理に基づく価格と、『リスク中立経済下における金融商品の将来価値の期待値』の現在価値は一致する」

という話のイメージが何となく分かっていただけましたでしょうか。

デリバティブでも、フォワード取引や一般的なスワップなど基本構造が簡単な商品は、どうすれば複製できるか簡単に分かるので、複製原理だけでもプライシングができます。ところが、オプションとなると複製原理に基づくプライシングは極めて難解なものになってしまうのです。そこで、オプションなどについては、この金融工学の原理を使い、リスク中立経済下における商品の期待値の現在価値として価格を求めることが多いのです。このようなプライシング手法を「リスク中立評価法」などと言います。

リスク中立評価法の原理では、デリバティブの価格は「リスク中立経済下における将来価値の期待値」の現在価値として求められるわけですが、問題はどうやってこの期待値を求めるかです。先ほどからの話だと、リスク中立経済下における金融商品の将来価値の期待値は簡単に分かるようなイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうはいかないことも多いのです。

例えばオプションのプライシングにおいては、どうしても原資産の価格推移について何かしらのモデルを立てる必要がありますが、そのとき、ある程度現実と整合性のあるモデルを立てると、そのモデルに基づく将来価値の期待値の計算自体が非常にやっかいになります。特に「エキゾチック・オプション」と呼ばれるキャッシュフローの決めかたが複雑なオプションなどになると、解析的に(つまり式を解く形で)期待値を計算することが不可能な場合も出てくるのです。

そこで、このようなリスク中立経済下における期待値が計算できないような、あるいは非常に難しいようなオプションのプライシングにおいて、モンテカルロ・シミュレーション法が必要になります。リスク中立経済を前提にして、オプション価値のシミュレーションを何万回と行い、その平均値を期待値とするわけです。これは、前にも触れた「大数の法則」の考え方を使っているわけです。

オプションのプライシングなどを勉強したことがない方にとっては、あまりにも「?」な話の連続だったかもしれません。しかし、この辺りはこの講座で詳しくご説明するにはあまりにも大変なテーマですので、このぐらいにさせていただきます。次回は、具体的なシミュレーション例の説明に入ります。

著作権・免責事項

  • 「やさしい金融エンジニアリング講座」(以下、本解説集)の文章、図表などの著作権は、シグマベイスキャピタル株式会社に帰属しますので、複製・転載・引用・配布などは一切禁止します。
  • 本解説集の利用により生じた損害はいかなる理由であれ、一切責任を負いかねますので予めご了承下さい。
  • 本解説集は、予告なしに内容が変更・削除等されることがあります。
  • 内容に対するご質問にはお答えすることはできませんので、ご了承下さい。

【魅力あるキャリア、プライベートバンカー】いつかは目指したい、信頼の証。