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コーポレートファイナンス用語辞典

加重平均資産収益率(WARA)

企業は投資家から調達した資金を用いて,事業活動に必要な資産(流動資産,有形固定資産,無形固定資産)を購入する。事業資産が人財や技術,組織能力と結びつき,利益やフリー・キャッシュフローなど経営成果を生み出す。
加重平均資産収益率(Weighted Average Return on Assets)は,各事業資産の期待収益率を算出し,加重平均した値である。事業資産ごとの資本コストと解釈してもよい。

貸借対照表の資本負債側に注目した値が WACC である。一方,資産側に注目した値が WARA である。貸借対照表は簿価でも時価でもバランスするため, WARA と WACC は一致する。 WACC は,投資家の視点から企業全体の価値評価を行う際の割引率である。一方, WARA は各種資産を評価する際の割引率の加重平均である。 WARA を構成する各資産収益率は, DCF 法を用いて事業譲渡や無形資産を評価する際に適用される。

下図における数値例は, WACC と WARA の関係を示している。負債の資本コストが 3% ,株式の資本コストが 7% ,負債比率と株式比率が 0.5 であるため,WACCは 5% となる。

WARA は資産サイドに注目する。企業は,負債と株式で調達した資本を用いて,三種類の資産を購入し,事業活動を行っている。資産 L はローリスク(流動資産本など),資産 M はミドルリスク(有形固定資産など),資産 H はハイリスク(無形資産など)である。
各種資産の期待収益率は,リスク・リターン関係に応じて決まる。資産 L の期待収益率は 2% ,資産 M の期待収益率は 5% ,資産 H の期待収益率は 8% である。各資産への投下資本を 1/3 とするとき, WARA は次のように 5% となる。 WARA と WACC は常に一致する。

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(図)WACC と WARA
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