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デュレーションってなんだろう
第3回 デュレーションの求め方 (その1)
1. はじめに
前回、利回価格曲線に引いた接線の傾きの値により、一定の利回り変化に対する債券の価格変動の大きさが測れるというアイディアをご紹介し、その接線の傾きは各種デュレーションの根底にある、いわば「基本デュレーション」と呼べるものであるという話をご紹介しました。
今回は、この「基本デュレーション = 接線の傾き」の値の具体的な求め方を紹介します。 次に、この基本デュレーションを使って求めることのできる「 修正デュレーション 」という、実務でよく利用されているデュレーション概念についてご紹介します。
2. 「基本デュレーション」の求め方
ここで言う「基本デュレーション」とは、上で述べたように、利回り価格曲線に引いた接線の「傾き」の値です。
これを求めることは、数学の「微分」という概念をよくご存知の方であれば簡単です。
例えば、
という関数を「微分」すると、
という「導関数」と呼ばれる関数が求められますが、この導関数とは、元の関数
に「接線」を引いた場合の、その接線の「傾き」を表す関数です。
よって、基本デュレーションを求めたい場合は、利回価格曲線を表す関数を微分して、その導関数を求めればよいのです。
具体的にやってみましょう。
例えば、残存期間 10 年の割引債があるとします。この割引債の価格 P と利回り r (1年複利ベース)の関係は
…… (1) 式
という関数で表されます。
そこで、この関数を微分すると、
…… (2) 式
という式が得られます。これが 10 年の割引債の「基本デュレーション」を求めるための式です。
■ (2) 式の導出
(1) 式 は、
と表記することができます。これに前述した微分の公式
→
を適用すると、
→
となります。
現在の利回りが 3% であるとするなら、 (2) 式の r に 0.03(=3%) という値を代入すれば、この割引債の利回り価格曲線に、利回り 3% のところで引いた接線の傾き、つまり基本デュレーションの値を求めることが出来ます。
実際やってみましょう。
(この計算をするには、EXCEL で 「 = -10*100 / (1+0.03)^11 」 を入力すればOK)
これが、期間 10 年の割引債の利回りが 3% のときの「基本デュレーション」の値になります。
前回述べたように、利回り変化がそれほど大きくなければ、一定の利回り変化があったときの債券の価格変化額は、 「利回り変化 × デュレーション」 で近い値が計算できるはずです。
10 年の割引債の利回り(現状 3.0% )が 0.1% 上昇して 3.1% になった場合の価格変化について調べてみましょう。
・デュレーションによる、利回りが 0.1% 上昇したときの価格変化
= 0.001 × デュレーション = 0.001 × -722.421 = -0.7224(円)
・本当の変化額は(ご自分で計算してみてください) -0.7186 (円)です。
かなり近い値であることが確認できました。
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