- Home >
- エクセルを使ったモンテカルロ・シミュレーション >
- 第10回 リスク中立評価法よるデリバティブ・プライシング (その2)
●日本FP協会 継続教育対象講座●
企業価値・ROE重視時代の株式投資に必要な企業分析を学ぶ!
【eラーニング】ファンダメンタル分析 初級コース
エクセルを使ったモンテカルロ・シミュレーション
第10回 リスク中立評価法よるデリバティブ・プライシング (その2)
3. オプション・プライシングの一般理論(2) リスク中立経済とは
リスク中立経済とは、歴史的にはポートフォリオ理論に源流を発する考え方で、投資家がすべて「リスク中立的投資家」だと仮定した仮想経済というか仮想的な市場状況のことを指します。
ポートフォリオ理論では、投資家は一般的にリターンの期待値とリスク(リターンの標準偏差)の両睨みで投資を決定すると考えます。そして多くの投資家は同じ期待リターンならば、リスクの小さい投資を選ぶと考えます。しかし、概念的にはリスク中立的投資家という、リターンの期待値だけで投資を考える投資家の存在を想定できます。
ところで、もし投資家が全員リスク中立的だとするとどうなるでしょうか? リスク中立的投資家はリターンの期待値しか考えていないわけですから、少しでもリターンの期待値の高い商品があれば、皆、期待値の低い商品を売って高い商品を買いに動くと考えられます。よって、リターンの期待値の高い商品の期待値はすぐに低くなり、期待値の低い商品の期待値はすくに高くなると考えられます。
理論的にこれを突き詰めて行くと、投資家が全員リスク中立的な状況下では市場の商品のリターンの期待値は、すべて同じ値に収れんすると考えられます。いわゆる「無リスク資産(リターンのブレが無い資産)」のリターンを「リスクフリー・レート」などと言いますが、投資家がすべてリスク中立的の場合、金融商品のリターンの期待値は全て一致し、そして当然このリスクフリー・レートとも等しくなります。
リスクフリー・レートは、現実的に考えれば国債の利回りなどで表されると考えられる(デリバティブ・プライシングでは LIBOR とスワップ・レートをリスクフリー・レートと見なすことが通常)ので、よって、投資家がすべてリスク中立的であると仮定できる状況においては、金融商品のリターンの期待値はどんな金融商品でもリスク・フリー・レートとして具体的に求めることができます。
実際の経済における金融商品の期待収益率を客観的に皆が納得する形で算出することはまず無理だと思いますが、リスク中立経済を仮定すれば、期待収益率はリスクフリー・レートですし、そこから商品の価格の期待値なども多くの場合計算できることになります。
著作権・免責事項
- 「やさしい金融エンジニアリング講座」(以下、本解説集)の文章、図表などの著作権は、シグマベイスキャピタル株式会社に帰属しますので、複製・転載・引用・配布などは一切禁止します。
- 本解説集の利用により生じた損害はいかなる理由であれ、一切責任を負いかねますので予めご了承下さい。
- 本解説集は、予告なしに内容が変更・削除等されることがあります。
- 内容に対するご質問にはお答えすることはできませんので、ご了承下さい。
【魅力あるキャリア、プライベートバンカー】いつかは目指したい、信頼の証。