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金融エンジニアリング キーワード解説

CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産評価モデル)

内容

1960年代半ばにW.シャープ、J.リントナーらにより発表された、市場均衡下における資産の期待リターン算出モデル。

具体的には、任意の資本資産 i の期待リターン E(R i )と「市場ポートフォリオ」 M の期待リターン E(R M )との間に以下の関係が成り立つ、とする。
   
ただし、
 R f : 安全資産リターン(無リスク金利)
 β i : 資産iと市場ポートフォリオの共分散÷市場ポートフォリオの分散
    (いわゆるβ値)

「市場ポートフォリオ」とは、CAPM理論においては「この世に存在する投資可能なすべてのリスク資産の集合体」を基本的に意味する。

なお、意外に知られていないが、この理論の創案者(の一人)であるシャープは、1990年にこの業績を以ってノーベル賞を受賞している。

実質的な意味

上の式を変形すると以下のようになる。
   

この式の意味は「任意の資本資産 i の期待超過リターンは、市場ポートフォリオの期待超過リターンのβ値倍である」ということである。
(β値については、こちら をご参照ください)

後述するようなCAPM導出のためにおかれた仮定を前提とすると、市場の投資家はすべてリスク資産としては「市場ポートフォリオ」に投資することになるので、個々の証券あるいはポートフォリオのリスクをいわゆる「システマティック・リスク」と「非システマティック・リスク」に分解した場合、「非システマティック・リスク」の部分は最終的にはポートフォリオのリスクに全く反映しなくなる。よって、CAPMの仮定の下では、個々の証券のリスクも実質的にシステマティック・リスクすなわちβ値によりその大きさが測られることになる。

つまりこの式は、(あくまでCAPM導出のための仮定を受け入れた世界での話であるが)「期待(超過)リターンとリスクは比例する」ということを意味した式といえる。

実務上のインプリケーションなど

CAPMはかなり非現実的な仮定(例えば「すべての投資家が個々の証券の期待リターン、リスク等について全く同じ予想を共有している」という仮定など)の下に成立している理論でもあり、発表当時よりその現実的な意義については激しく議論が繰り返された。

どの程度現実を説明する理論かという点についてはやや否定的な意見が多いと思われるが、強い仮定下ではあるにせよ、証券のリスクとリターンの関係を我々の直観的常識にマッチングする形で見事に定式化した業績については高く評価されるべきであろう。

また、CAPMに懐疑的な者も多いにも関わらず、十分なコンセンサスを持つ代替的な手法が存在していないこともあり、企業の株式価値の評価における期待収益率の算出などで、実際に広く利用されている現実がある。

いずれにせよ、ファイナンス理論のみならず実務にも大きな影響を与えている理論であり、この分野を学ぶ者がまず身に付けなければならない重要理論であることは間違いない。

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